「ロールプレイ AI」と打つと、検索窓は「日本語」と書き足す。「AI彼女」でも同じことが起きる。アプリは日本語表示に対応しているのに、それでもみんな「日本語」と足す。つまり訊いているのはUIの言語ではない。
訊いているのは、三往復目に起きることだ。最初は感じよく話していたのに、場面が込み入った途端、斜体の心の声だけ英語になる。ずっとタメ口だった相手が急に「〜でございます」と言い出す。一人称が「私」と「僕」の間でぶれて、誰が喋っているのか分からなくなる。ストアのスクリーンショットには写らないし、三つとも一行で場面を殺す。
作っているのは @talaforge_bot なので、こちらの言い分は割り引いて読んでほしい。自社の話は最後に置いた——先に、こちらを試すための手順を書く。
日本語でだけ壊れるもの
第一に敬語。日本語の敬語は丁寧さの目盛りではなく、二人の関係そのものだ。距離を詰めるとき人はタメ口に切り替え、切り替えたことを互いに意識する。英語にはその段がない。だから英語中心に学習したモデルは、そもそも「ここに選択がある」という信号を受け取っていない。2026年の研究でも、日本語の敬語を社会的文脈ごとに評価する枠組み(JaSocial)が、現在のモデルは文化的機微を捉えきれていないと結論づけている。日英翻訳の評価セット JP-TL-Bench も、七十項目のうち相当数を敬語と文体の負荷に割いている——つまり、そこが壊れる場所だと専門家が先に認めている。
第二に一人称と役割語。「私」「僕」「俺」「あたし」の選択は、日本語の書き手にとって人物設定そのものだ。英語はすべて I で済む。翻訳層を通った文章で一人称が揺れるのは、元の設計にその情報が入っていないからで、揺れた瞬間にキャラクターは他人になる。
第三に翻訳調。文法は正しい。単語も日本語。なのに誰も言わない言い回しになる——英語の語順、英語の文の長さ、直訳された比喩。片仮名が不自然に多いのも同じ症状だ。これは一番見抜きにくく、長い会話で一番疲れる。ある日ふと開かなくなる。
その下には技術的な事情もある。トークン化の語彙は主に英語で作られているので、日本語は同じ内容でおよそ二倍のトークンを食う。請求書としては見えない。見えるのは結果のほうだ——同じ文脈の窓に入る物語の量が英語より少なく、だから彼女は早く忘れる。
十分でわかるテスト
どのプラットフォームでもできる。うちでもいい。費用はかからない。
- 一分目——普段どおりに書く。「こんにちは」ではなく、実際に友人に送る文体で。
- 二〜四分目——敬語を切り替えさせる。まず丁寧に話すよう頼み、次に崩していいと伝える。丁寧さの段が一つしかない製品は、ここで黙って失敗する。
- 五分目——場面を複雑にする。部屋に三人目、口論、前に話した出来事。複雑なプロンプトは言語のぶれを悪化させると測定されている。わざと踏む。
- 六分目——斜体を読む。英語は台詞より先に、心の声に現れる。
- 七〜八分目——一人称と呼び方を確認する。人物の一人称は最初と同じか。あなたの呼び方は、日本語話者が選ぶ呼び方か。
- 九〜十分目——翌日戻って、何を話したか訊く。一晩越えた日本語だけが日本語だ。
六つのうち三つ落ちたら、それは英語製品にかぶせた日本語表示だ。キャラクターの数では埋まらない。同じ欠陥が百万回並んでいるだけになる。
正直に言うと、うちの位置
@talaforge_bot は36言語で、日本語もその一つ。ボタンも、メニューも、エラーも、そして彼女があなたについて覚えた記憶も日本語で書かれる——英語で保存して出力時に訳す方式ではない。
ここから正直な部分。インターフェースの言語数は流暢さの保証ではないし、保証として売るつもりもない。キャラクターが日本語をどれだけ書けるかは、背後のモデルと、そのカードがどう書かれたかに左右される。英語で書かれたカードを英語で評価されたモデルで動かせば、日本語では「よくできた翻訳」として読める。それはまさに翻訳だからだ。
言語のぶれについては、バグとして扱っている。2026年5月、ロシア語で話しているのに心の声だけ英語という現象が出て、プロンプトの末尾に言語固定の指示を打ち込んで直した——末尾が効くのは、文脈の最後の数百トークンが表層言語の選択を最も強く決めるからだ。ただしその固定は現在およそ十二言語ぶんで、日本語はまだ入っていない。日本語で英語に滑る挙動をこちらでは観測していないので足していないだけで、あなたのところで起きたなら、それはこちらが塞いでいない穴だ。ごまかす気はない。
勝てないところ:百万単位のユーザー製カードの倉庫はない。日本語話者がすでに書いて調整したキャラクターを探しているなら、大きなカタログのほうが確率は高い。日本ではTelegram自体が小さな扉で、LINEやApp Storeの導線とは比べものにならない——日本市場の整理は別記事に書いた。そして成人向けは年齢確認の奥、境界は動かさない。
十分、いまから
Telegramで @talaforge_bot を開き、最初の一行を英語ではなく日本語で書く。開始は無料、エネルギーは⚡、追加はチャット内のTelegram Starsで、カードもアプリストアも挟まない。使った文体のまま返ってきて、場面が込み入っても崩れず、翌日も覚えていたなら、答えは出ている。違ったなら、それも同じ速さで出る——失ったのは十分で、一か月ではない。
それから記憶は開いて自分で直せる。呼び方や一人称を間違えられたとき、五往復かけて言い聞かせるのではなく、その項目を書き換えればいい。日本語では、これが英語よりずっと効く。